篆刻作り
篆刻に興味を持ってくれて、さらに自分で彫ってみたいと思ってくださる人(もし、いましたら)に捧げる、篆刻の作り方です。
わかりづらい所も多いと思いますが、少しでもそういった方の助けになりますように。
用具
私が使わないものもありますが、一般に篆刻を行う際使うことの多い道具を紹介します。
●篆書字典と墨場字典
篆刻は主として篆書を扱うので篆書字典があると便利です。図形を彫ることが多いので私は大抵図書館ですましています。墨場字典は刻するのにふさわしい言葉なんかがのっています。良い言葉を知らない私には大変便利です。
●印材
私は中国産の青田石系か巴林石を使うことが多いです。透明感があるものを選ぶと柔らかいそうです。
●サンドペーパー(きめの粗いものと細かいもの)
購入したばかりの印石はきちんと平らに整っていないので印面を300番前後の粗いサンドペーパーで大まかに整えた後、1000番位の細かいサンドペーパーを使いさらにまっすぐにします。
●鏡
サンドペーパーで整えた印面を当てて、ぴったりくっつくか(印面がまっすぐになっているか)確認したり、印面確認して手直しするのに移して使います。
●印刀
石を彫るための刀です。私は頂き物の幅八ミリの平型(刃の部分がまっすぐ)を使っていますが、重くてちょっと使いづらいです。5ミリ幅のもののが使いやすかったように思います。
●印床(いんしょう)
印材を固定する木製の台のことです。普通は石材を手に持って彫るのですが、小さな印鑑を彫る時は石が安定するので誤って手を傷つけることがありません。初心者で握力の弱い私には便利な道具なのですが、持っていません。使ったことも1度だけ。
●印泥(いんでい)
朱肉のことです。印泥は朱砂と植物繊維に油を加えて作られていて、高価なものの中には水銀が使われているものもあります。使用時にはお団子のようにこねてから使います。朱肉と言っても色は様々で明るいオレンジのような色もあれば、チョコレートを思わせる深い色もあります。
●その他
墨・朱墨・筆・印矩(印を押す時の定規)・印箋(印を押捺するための紙のことです)・水差し・ブラシ(削りかすを払います)・タオル
篆刻の手順
初心者の作業ですのが、参考までに完成までの手順を紹介します。
1、印面を整える
まず印の彫る面(印面)サンドペーパー2種(粗300番前後、細1000番前後)で滑らかにします。
サンドペーパーはまっすぐな板に敷いて、その上で円を描くように石を滑らせます。時々鏡やガラスなど硬い板の表面に当てて、隙間があいてぐらぐらしないか確認しながら整えます。気がつくと斜めに削れていることがあるので注意してください。
2、印面に印稿を移す
印面に印稿(図案)を移すには、直接彫る面に反転した文字を書く方法と、別紙に書いた印稿を転写する方法があります。
直接印面に書く場合には、鏡でバランスを確認しながら筆で修正していきます。一度朱墨で塗りつぶしてから墨で書いていくと雰囲気がわかりやすいです。筆文字が不得意で無精者の私は、油性マジックで書き込むこともあります。
転写する方法では、まず雁皮宣などの薄い和紙に印面の型を取ります。そこに筆で文字を書いてから石に被せ水をしみ込ませて、破れないように折り曲げた紙をさらに被せてからさブラシでよくこすります。ゆっくり紙をはがすと文字が転写されます。
また、コピー原稿のカーボン成分を溶かして転写できる転写用スプレーも売られています。どちらも不明瞭な部分は鏡に映しながら直接書き込んでいきます。
3、刻る
印刀を使って彫っていきます。その際、印床を使うと便利です。印刀は引いて使っても押して使ったもいいそうです。持ち方も自由です。
一通り刻り終わったら試しに捺印してみます。
4、手直しする
捺印した印影の元に気に入らなかった箇所を修正していきます。この作業を補刀(ホトウ)と言います。ここで太すぎる文字を細くしたり、窮屈な枠を印刀の後ろで叩き、欠けさせて趣を出したりします。
5、完成
印箋に押捺して完成です。このとき印矩を使うと、押した印影が薄い場合、何度も同じところに押すことができます。
余裕のある方は印材の側面に側款(彫った人の名前を印に彫ること)をいれます。印面を下に向けて立てて左側の側面に彫るのが一般的です。

